温泉誌のモデル 第2話 初めての撮影
(前話はこちら)
妻から了承を得た私は妻を温泉誌のモデルに推薦しましたが、それからしばらくの間、特に音沙汰はありませんでした。
私自身、このことを忘れかけていたある日。
「私、明日撮影に行くから、帰りは明後日になるね」
朝食の席で、まるで近くのコンビニにでも行くかのようなサラっとした調子で妻が言いました。
私は一瞬なんのことかわからず戸惑いましたが、ようやく例のモデル撮影の件だと思い当たりました。
話を聞くとすでに妻の方に連絡がきていて、話を進めていたとのことです。
食事を終えると、さっそく妻は旅行の仕度にかかりました。
てきぱきと旅行の準備を進める妻の様子からは、撮影を前にして不安を感じている気配などは特に感じられません。
そんな妻の様子を尻目に、私は仕事に出かけました。
仕事を終えて帰宅すると、すでに旅行の準備は万全のようでした。
夕食の間、妻に心境を聞いてみました。
「明日はいよいよ撮影だね」
「うん、そうだね」
「緊張してる?」
「多少はね」
「やっぱり裸になるのは恥ずかしい?」
「もちろん恥ずかしくないわけじゃないけど、タオルだって巻くから別にそこまでのことではないと思うことにしたの」
「⋯なるほどね」
どうやら妻の中では、すでに気持ちの整理(?)がついているようです。
その後食事を終えると、妻は明日は早いからと早々に床に就きました。
一方私の方はなんとなく寝付かれず、眠りに入ったのはだいぶ夜が更けてからでした。
翌朝、目を覚ますとすでに妻は○○温泉へ出かけた後でした。
できれば私も付き添いたかったのですが、仕事があるため叶いません。
私も仕度をし、仕事に出かけました。
仕事をしている最中も、いまごろ妻がカメラの前で撮影をしているかと思うと落ち着かず、なかなか目の前の仕事に専念することができませんでした。
仕事が終わるとさっそく妻に状況を確認しました。
たいへんだった?
お土産楽しみにしててねー
どうやら、いましがた撮影も無事終了したようです。
初めての撮影ということもあり少々心配もしましたが、元気そうな妻の様子にほっとしました。
またその一方で、どこか肩透かしを食らったような気持ちも感じていました。
具体的な撮影内容など気になることも多いですが、ともあれ一人帰路につきました。
翌日、帰宅した妻にさっそく感想を聞いてみました。
「撮影はどうだった?」
「うん、思ったよりたいしたことなかったよ」
「ふーん、どんな写真撮ったの?」
「タオル巻きながらただ温泉に浸かってるところを撮ってもらっただけだよ」
「早く写真観たいな」
「恥ずかしいから、別に見なくていいよー」
そんなことを二人で話したりしました。
それから数ヶ月後、件の著者による温泉ガイドの新刊が発売されました。
私は事前に予約をし、発売日当日に入手しました。
私は逸る気持ちを抑えながら、ページを捲っていきました。
そしてついに○○温泉を紹介するページに掲載された妻の写真を見つけました。
バスタオルを巻いた妻が湯浴みをしながら温泉に浸かっている様子がメインで掲載されています。
またサブカットでは湯船の縁に腰掛ける妻の姿なども載っています。
際どい写真も多く掲載されている本誌の中では、いずれもかなり控えめな写真であるといえます。
しかしながら美しく撮られたその姿には、同時に仄かなエロスも感じられます。
写真の現物を見ていると撮影現場の情景なども目に浮かび、興奮を抑えきれませんでした。
私は妻の写真をおかずにすると、さっそく感想を報告しに行きました。
「写真見たよ」
「もう見ちゃったの、ずいぶん早いね」
妻は照れ笑いを浮かべました。
「○○はもう見た?」
「うん、一応ね」
出演者である妻には、一足先に現物が送られていたようです。
「どうだった?」
「うーん、どうなんだろう」
「綺麗に撮れていて良かったよ」
「そうかな?⋯でもこうして自分の姿が本に載ると、やっぱり恥ずかしいね」
「きっといまごろ○○の写真をネタにシコってる奴もなにげにいると思うよ」
「もう、急に変なこと言わないでよ」
「いや、俺もさっきしてきたし」
「別にそんなことまで報告しなくていいから⋯」
そんな風に言いつつも、妻は様子はどことなく嬉しそうです。
やはり女性としては、綺麗に撮ってもらえたことが嬉しいのでしょうか?
その後もせっかくなので二人で一緒に今回の新刊本を通して見ていきました。
妻の写真こそ露出度は控えめでしたが、例によって今回の本もかなり攻めた画像がたくさんあります。
ここまでくると、女性の画像がメインのフェチ本として分類してもいいのではないかと思います。
あらためてよく出演してくれたものだと、感心しました。
読み終えた後、「そういえば⋯」と妻が切り出しました。
「この本贈ってもらった際にね、再度出演のオファーも来たの」
旦那の私が言うのもなんなのですが、今回掲載されているモデルさんの中でも、妻はトップレベルでかわいいと思うのでありえる話です。
妻は続けて私に尋ねました。
「せっかくのお誘いだし、またお受けしてもいいかなと思うけど、どうかな?」