悪童たちにお灸 第3話 作戦決行
(前話はこちら)
覗きをしていた男の子たちに、お説教をしてから数日経ったある日のこと。
私は仕事を終えて控え室に入りました。
あの日以降、着替えをする前には窓を確認するのが習慣となっていました。
その日も何気なく確認したところ、なんと窓のロックが解除されており下の窓が僅かに開いていたのです。
朝に確認した際には、たしかに鍵が掛かっていたはずです。
この部屋は物置としても使われているため、日中は鍵は掛かっておらず誰でも入ることができます。
つまり誰かが私のいない間に部屋に入り、窓を開けたことになります。
私は再度窓を閉じて、鍵を掛けました。
その直後、窓の外に人の気配を感じました。
耳を澄ますと、微かに男の子たちの声も聞こえてきます。
「あれ? 窓が閉まってる。さっきたしかに開けてきたのに」
「○○ちゃんに気付かれたかな?」
「まぁ○○ちゃんなら、別にバレても怖くないし」
「よし来週、俺また窓開けてくる」
そして窓の外の気配も消え、声も聞こえなくなりました。
やはり男の子たちが、こっそり部屋に忍び込んで再び窓を開けていったようです。
案の定、男の子たちは全く反省していないようです。
どうやら、厳重に注意する必要があるようです。
しかし物的証拠が無ければ、また白を切られて終わってしまいかねません。
そこで私は、男の子たちにお灸を据える作戦を考えました。
週が明けた月曜日。
仕事を終えて控え室に入った私は、真っ先に窓を確認しました。
予想通り、閉めたはずの窓が頭一つ分開いています。
朝見たときは閉まっていたので、男の子たちが忍び込んで開けていったのでしょう。
男の子たちのこうした行動も想定の範囲内です。
しかし男の子たちの警戒を解き油断させるために、あえて窓はそのままにしておきました。
見られているとわかっていて着替えをするのも内心複雑ですが、やむを得ません。
私の作戦が成功すれば、もう覗かれることもなくなるでしょうから。
そうしたわけで私は覗かれているのを承知の上で、できるだけ自然体を心がけて数日間着替えを続けました。
例の3人は、懲りもせず覗きを続けているのが気配でわかります。
やはり予定通り、きつくお灸をすえる必要があるようです。
そして下準備も整い、作戦決行の日がやってきました。
その日、私はいつも通りに仕事を終え控室に入りました。
少しすると、男の子たちがまた覗きにきました。
私は下着だけになり男の子たちに背を向けペットボトル飲料を手にすると、ブラジャーに水をこぼした演技をしました。
「わっ、ブラに水こぼしちゃった」
私はブラジャーを外し、近くのハンガーにかけました。
「音楽でも聴きながら、乾くの待つか」
そう独り言つと、ワイヤレスイヤホンを着けスマホを手にしました。
実は窓の近くにはカメラが仕掛けてあり、スマホから映像をリアルタイムで確認することもできるのです。
スマホの画面には、身を乗り出して中を覗き込んでいる男の子たちの姿が捉えられていました。
「ブラ外した!!」
「でもこっからじゃ見えない」
「こっち向いてー」
イヤホンから、ノーブラ姿にはしゃいでいる男の子たちの声も聴こえてきます。
我ながらわざとらしい演技だと思いましたが、男の子たちは全く疑っていないようです。
この映像があれば、もう言い逃れをすることはできません。
せっかくなので覗きの様子をもう少しカメラにおさめることにしました。
自分たちの恥ずかしい姿を客観視すれば、きっと彼らも深く自省するでしょう。
「充電器どこ置いたっけ」
男の子たちに背を向けたまま、探し物をするそぶりをします。
ときおり体の向きを少し傾けたりすることで、男の子たちを煽ります。
「あ、見えそう!」
「惜しい」
「もうちょっとなのになー」
男の子たちは、私のアクションに一喜一憂しています。
そのピュアな反応が、だんだんとおもしろくなってきました。
そして、どうせもう見納めになるのですから最後に少しサービスしてもいいかなという気持ちがわいてきたのです。