悪童たちにお灸 第2話 着替えを覗かれて

(前話はこちら)

「下着試着室selection vol.8」の画像
DUGA「下着試着室selection vol.8」
男の子たちの話していた内容と、私の着ていた下着の色は全て合致していました。
ということは、いままでずっと着替えを覗かれていたということでしょうか⁉

私は建物の中であまり使われていない一室を、控え室として使わせてもらっています。
子供たちと一緒に遊んだりしながら面倒を見ていると、どうしても服が汚れてしまうため、仕事前・仕事後にそこで服を着替えています。
もし男の子たちに覗かれていたとしたら、その最中だと考えられます。

そこで私は休憩中、控え室に怪しいところはないかチェックしてみました。
私は控え室として利用している部屋は、物置としても使われている部屋となります。
そのため壁面には棚なども設置されており、普段使わないものなどが雑然と並べてあります。

そこで私は、棚の裏側にある擦りガラスの窓に目を留めました。
この窓は上げ下げ窓になっていて、上下に窓を開ける仕組みになっています。

もしやと思って調べてみると案の定、下の窓が頭一つ分ほど開いていたのです。
棚の陰に隠れて死角になっており、これまで気付かずにいたのでした。

おそらく、ここから男の子たちが私の着替えを覗いていたのだと考えられます。
その前の棚段だけ、不自然にモノがありません。
きっと見やすいように、子供たちがどけたのでしょう。

私は窓をそのまま開けたままにして、実際に外から覗いてどう見えるか確認してみることにしました。
私は一旦控え室を出ると、裏口から外に出て控え室の窓のあるところまで向かいました。
控え室から直接窓の外には出られないため、どうしても少し時間がかかってしまいます。

控え室の窓の外の周辺は木々に囲まれており、仮に人がいても気付きにくい構造となっています。
地面が部屋の床より少し低いため、窓の空いている部分の高さはちょうど男の子たちの視線の高さくらいでしょうか。
覗いてみると、部屋の中がよく見えます。

「盗撮~着替え2」の画像
DUGA「盗撮~着替え2」
着替えている私を想定すると、おそらくこの位置からなら首元から脚くらいまで見えるかと思います。
一方で上の棚板が隠してくれるので、私の目の高さからは覗いているであろう彼らを視認することはできません。
まさしく絶好の覗きスポットといえるでしょう。

状況を確認した私は、休憩時間もそろそろ終わるためそのまま仕事に戻りました。
そして仕事をしながら、このことについてどう対処するかについても考えました。
覗かれっぱなしのまま終わるのは、私としてあまりおもしろくありません。

それに子供たちにとっても、覗きが常習化することは良くありません。
子供たちのためにも、やはり一度話をしておく必要があるように思います。
そこで私は仕事が終わった後、控え室に直行せず、周辺の木々に身を潜めて男の子たちを待ち構えました。

木々に隠れて待つこと数分、例の3人組がやってきました。
皆、私が隠れていることには気付いてません。
3人は、窓の隙間に顔を寄せて中を覗きます。

「あれ? ○○ちゃんいない」
「トイレでもいってるのかな?」

やはり男の子たちは、これまでここから着替えを覗いていたようです。
私は足音を立てないように注意しながら、男の子たちの背後にそっと近づきました。

「ねぇ、そこで何してるの?」
「わ、○○ちゃん⁉」
予期せぬ方向から私に声を掛けられ、男の子たちはだいぶ驚いているようです。

「もう一度聞くけど、そこで何をしてたの?」
「⋯別に何もしてないし」
「でも今部屋の中を覗いてたよね?」

「⋯⋯」
「私が着替えてるところを覗こうとしてたの?」

「⋯んなわけないじゃん」
「そうだよ、俺たちはたまたま歩いてたら窓が開いてたから何の部屋かなっと思って覗いただけだし」
「だいたい自意識過剰だよ、別に○○ちゃんの着替えなんて好き好んで見たいとも思わないし」

男の子たちはあくまでもシラを切るつもりのようです。
とはいえこちらにも物的証拠があるというわけではないので、このままでは水掛け論で終わってしまいかねません。

「⋯とにかく、もうここから中を覗いてはダメよ」
「⋯⋯」

「わかった?」
「⋯はい」

「それからね、女の人が着替えてるところをこっそり覗いたりすることは良くないことなの」
「だから俺たち、別に着替えを覗こうなんてしてないし⋯」

「いいから聞いて」
「⋯⋯」

「あなたたちが覗いていないというのならそれでいいわ。だったらこれから先も女性の着替えを覗いたりはしないって約束してくれる?」
「⋯約束する」
「約束よ、それならもう行っていいわ」

三人は若干不服そうな表情を見せたものの、おとなしく去っていきました。
けっきょく最後まで覗きは認めなかったけれど、これを機に反省して行動を改めてくれれば、もうそれでいいと思いました。
これまでずっと着替えを覗かれていたことについては、やっぱりちょっとモヤモヤするけど⋯

ともあれ私は控え室に戻ると、窓を閉めて鍵をかけました。

  1. << 第1話へ
  2. >> 第3話へ