自撮り資料
絵描きをしています。
美術大学を卒業後、郊外の共同アトリエの一室を借りて、主にそこで制作をしています。
そこで起きた、ちょっと恥ずかしい体験談です。
人物を描く際、市販のポーズ集などでは望むポーズが載っていないことも多いです。
かといって、プロのモデルさんを雇う経済的余裕もありません。
そこで目的のポーズを自撮りし、それを参考にして絵を描くことも多いです。
ある日、アトリエのドアがノックされました。
扉を開けると、大学時代に同じゼミだった男子二人が立っていました。
二人は別の部屋を借りている知人に用があり、この建物を訪れたそうです。
そしてその帰りに、私に顔を見せにきたとのことです。
私たちはしばし、互いの近況や思い出話などをしました。
しかし途中から、二人がチラチラと壁のほうを見ていることに気がつきました。
壁面には、描きかけの人物画がかけてあります。
けれども彼らがチラ見していたのは、その絵ではありませんでした。
絵の横には参考資料として、絵のポーズを再現した自撮り写真が貼ってあります。
裸婦を描いていたので、写真もヌードです。
顔も写っているので、そのモデルが私だということはすぐにわかります。
気付いたときは、すごく恥ずかしかったです。
かといって、いまさらそれを剥がすのもそれはそれで気まずいです。
私は早めに話を切り上げ、二人を部屋から送り出しました。
しかし、こんな形で裸を見られるとは不覚。